リウマチ性疾患と関節炎
vol.002(07.02.01up)
前回のコラムで「リウマチ」という言葉について述べました。わが国の日常会話でリウマチという言葉が色々な意味で使用されることを説明しました。関節、腱、筋など身体を動かす運動器のこわばりや痛みを起こす病気がリウマチ性疾患です。一つの病気ではなく多くの病気の総称です。この中には関節リウマチや骨関節炎(変形性関節症)など治療法や経過が異なる多くの疾患が含まれています。
これに対し外国、特に米国では関節炎(Arthritis)という言葉がよく用いられます。関節炎とは言葉の通り関節の炎症を意味します。Arthritisはギリシャ語の関節(arthron)と炎症(itis)に由来します。関節に炎症が起こり疼痛やこわばりを起こします。関節炎を起こす疾患は100以上あります。その中には筋肉や結合組織なども障害する疾患がふくまれています(表、ワインブラット博士による)。すなわちリウマチ性疾患と関節炎は同じような意味で使用されることがわかります。
関節炎を起こす主な疾患
- Ⅰฺ骨関節炎
- Ⅱฺ強直性関節炎
- 小児関節炎
リウマチ性多発筋痛症
乾癬性関節炎
反応性関節炎
血清反応陰性関節炎 - Ⅲฺ感染性関節炎
- 細菌性関節炎
ライム病 - Ⅳฺ代謝性疾患
- 痛風
- Ⅴฺ関節炎類似の症状を示す関連疾患
- 滑膜嚢胞炎
線維筋痛症
腱炎
それぞれの関節炎には特徴的な症状がみられますが、(1)階段の昇り降りやドアの開閉がつらい、(2)疲れやすい、(3)関節の痛みや曲げ伸ばしが不自由、(4)身体や関節のこわばり、(5)関節の腫れ、などが多く感じられます。はっきりした原因が思い当たらないとき、休養や市販薬の服用では改善しない時には、早めに主治医と相談することが大切です。リウマチ性疾患や関節炎には治療法や経過・予後が違う色々な病気があるからです。早期の正確な診断が適切な治療の基本になるからです。